今日は、「主語」が2つあると、それを読んでいる人は混乱してしまう、という話をしたいと思います。

文章の大原則は、「ひとつの文章のなかに、ひとつの主語」です。

これを守れていない文章が、意外にも多いのです。

それでは、さっそく解説していきましょう。

『ハイパワー・マーケティング』の文章を添削

いま、マーケティングの世界的権威であるジェイ・エイブラハムの著作の翻訳本『ハイパワー・マーケティング』を読み返しています。

その関係で、いろいろな「問題のある文章」が目についています。

今日は、そのなかから、「主語が2つあるケース」をご紹介したいと思います。

この本のなかには、「気前のよいクライアント」という章があります。

「気前のよいクライアント」というのは、かつてはクライアント(顧客)だったものの、その後、なんらかの理由によって去っていってしまった人のことです。

つまり、そういった人は、販売者がちょっと声をかければ、すぐに戻ってきてくれる。だから、「気前のよいクライアント」というわけですね。

ふつう、新規顧客を開拓しようと思えば、それなりに費用がかかります。

しかし、かつての顧客に電話をかけたり、メールを出したり、あるいは実際に訪問したりして連絡をとることによって、それほど費用をかけずに、顧客の数を増やすことができるのです。

今日、添削する文章は、そんな内容の章のなかで、とくに目についた箇所になります。

一文のなかには「主語」はひとつだけ

『ハイパワー・マーケティング』(角川書店)の116ページには、以下のような文章があります。

読みやすくするために、1行ずつ改行しました。

問題の箇所は、最初の文章です。

読まれてみて、「なんだかへんだな・・」と思いませんか?

「尋ねるようにした」のは「整体師」でしょうか?それとも「アシスタント」でしょうか?

上記の文章の場合、「整体師は」という主語が浮いてしまい、どこにもつながらない状態になってしまっているです。

私は、この文章を以下のように添削しました。

今度はすっきりとイメージできるようになったのではないでしょうか?

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私が一緒に仕事をした整体師は、8か月以上定期検査を予約していない患者に対しアシスタント電話をかけさせ何かあったのですか?」と尋ねてもらうようにしました。
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ちなみに、「8か月以上定期検査」の部分は、漢字が連続していたため、あいだに「も」を入れて読みやすくしました。

そのほか、適切な箇所に「読点」を打ったり、発言部分を「カギカッコ」で囲ったりという修正も施しました。

上記のような文章であれば、すんなりとイメージできるのではないでしょうか?

「読みやすい文章」「わかりやすい文章」というのは、このようなものをいうのです。

参考になりましたら幸いです。