あなたは「否定命令」というものをご存じでしょうか?

これは、「〇〇してはいけない」「〇〇しないでください」と相手に言う行為をさします。

しかし不思議なことに、人というのは、「〇〇してはいけない」と言われると、かえって、そのことに興味をもって、やりたくなってしまうのです。

この「否定命令」を知っておけば、広告を書く際、あなたの望む行動を読み手に取ってもらうことも可能になります。

この記事では、まずは「否定命令」の概略を説明し、そのあと、なぜ「否定命令」が効果を発揮するのかという「3つの理由」について、くわしく解説していきたいと思います。

相手に取ってほしい行動を「禁止」する

冒頭でもお伝えしたように、人は「禁止」されると、かえってそのことが気になりだします。

人のそのような心理特性を利用して、「こちらが相手に行なってほしいこと」を、あえて「禁止」するわけです。

その結果、相手は「禁止された行為」をやりたくてたまらなくなり、こちらの思惑通りの行動をとってくれるのです。

広告で、この「否定命令」が使われる例としては、以下のようなものがあります。

「〇〇に該当するかたは、今すぐに、このページを閉じてください」
「納得しないうちは、決して商品を購入しないでください」

「このページを閉じてください」というのは、いいかえれば「このページを読まないでください」ということですが、このように言われると、訪問者はそのページに「興味」がわいてきて、その先を読みたくなってきます。

また、広告の終盤段階で、「決して商品を購入しないでください」と言われれば、その読み手は、商品がさらに欲しくなってくるわけです。

それでは、ここからは、なぜ「否定命令」が効果を発揮するのか、3つの理由を解説していきます。

なぜ「禁止」されると「興味」がわくのか?

「否定命令」というのは、「〇〇してはいけない」「〇〇しないでください」といった表現をさします。

たとえば、

「この本を、けっして開かないでください」

と言われたとしたら、あなたは何を想像するでしょうか?

おそらく、「その本を開いている光景」そして「その本を読んでいる光景」を思い浮かべるのではないでしょうか?

つまり「開かないでください」といわれたとき、人は、「開く」ことをイメージしてしまうわけですね。

まず人は、「開かないでください」という言葉を聞いたとき、無意識のうちに、「開く」と「しないでください」という2つの言葉に分割して考えます。

そのため、最初の「開く」という言葉から、「開いているイメージ」を先に受け取ってしまうのです。

ですから、そのあと、「しないでください」というメッセージを受け取ったとしても、最初のイメージは消しようがないわけですね。

結局、その人の顕在意識レベルでは「開かないでください」という解釈でも、その人の潜在意識レベルでは「開いてください」と言われたことと同じになってしまうのです。

「禁止」されると「希少性」を感じる

人は、なにかを禁止されると、そこに「希少性」を感じます。

「希少性」というのは、たとえば広告内でよく見かける、以下のようなフレーズに見られるものです。

「残り30名様」
「〇月〇日までの特別価格!」

このようなフレーズを目にすると、その読み手は、「チャンスが失われようとしている」「そのまえに、急いで行動を起こさなければ!」という思いになります。

チャンスの門が閉じられようとすると、人は、そこに「価値」を感じるわけです。

「否定命令」には、広告の読み手に対して、この「希少性」を感じさせる効果もあるわけですね。

人は「制限」されることを嫌う

「否定命令」がなぜ効果的なのか?

その理由の3つ目は、人は、自分の選択を「制限」されることを嫌うからです。

人は、他人に「自分の選択の自由」を奪われることを嫌います。

ですから、

「この商品を決して買わないでください」

と言われると、「自分の選択の自由」が制限されたような気がして、「購入」という行為によって、「奪われた自由」を取り戻そうという意識が働くのです。

これは、心理学用語では「心理的リアクタンス」といいます。

もちろん、「この商品を決して買わないください」の一言だけで、商品がバンバン売れていくわけではありません。

しかし広告の中に、スパイスを振りかけるように、この一言を添えてあげれば、その広告の成約率が高まることが期待できるわけです。

ただ実際は、「この商品を決して買わないでください」とだけ伝えると、不自然な感じになります。

そこで、

「もし、広告の内容に納得できなければ、決して買わないでください」
「もし、〇〇を達成する自信がないかたは、決して買わないでください」

というように、「何かの条件」をつけると、しぜんな感じで「否定命令」を使うことができます。

こうした条件をつけてあげれば、「購入者思いの親切な販売者」というイメージにもなるのです。

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以上、この記事では「否定命令」というものについて、くわしく解説してきました。

否定命令をすると、その受け手は、「言われたことと真逆のこと」が気になりだします。

その特性を利用すれば、こちらの望む行動を、相手に取ってもらうことも可能になるわけですね。

そして、この記事では、否定命令が有効であることの理由を3つ、ご紹介しました。

ただ、もちろん、広告内が「禁止だらけ」になっても、違和感がありますし、効果が半減してしまうことは言うまでもありません。

ぜひ、広告を作成する際は、「否定命令」という要素を、「ここぞ」というときに上手に使っていってください。