この記事では、「コピーライティングの観点からみた、本の購入までのプロセス」について解説していきたいと思います。
じつは、本とセールスレターには、その購入プロセスに共通点があるのです。
そのどちらも、ある程度の文章を読んでから、購入するかどうかを判断するからですね。
コピーライティングの原則を知っていれば、「人が本を購入する際の心理プロセス」が手に取るようにわかってきます。
このような考察を一度でも行なってみることは、あなたの「コピーライティングへの理解」をさらに深めることは間違いありません。
この記事では、いかにセールスレターを目にしている人と、本を目にしている人の心理に共通点が多いかということを、徹底的にくわしく解説していきたいと思います。
本とセールスレターには共通点が多い
消費者における、世の中のあらゆる購買行動は、「コピーライティング」の観点から読み解くことができます。
それは「本の購入」においても例外ではありません。
しかも、消費者が「本」を購入する際の心理プロセスは、1枚のセールスレターを訪問者が読む際の心理プロセスに、非常によく似ています。
つまり誰かが、セールスレターに初めて訪問してきて、そのあと文章を読み進め、最後に「購入」を決断するまでの心理プロセスが、そのまま「本の購入」にも当てはまるのです。
セールスレターも本も、どちらも「読むもの」であるため、どちらも非常によく似ているわけですね。
ちなみに1枚のセールスレターでは、以下の3つの段階をふんで、読み手を少しずつ誘導していきます。
- 冒頭で、まずは訪問者の「注意」と「興味」を引く
- その後の文章で、読み手の「信頼」を勝ち取る
- 終盤段階で、読み手に「行動」を促す
セールスレターにおける、この3つの段階が、本を購入しようとしている人にも、そのまま当てはまるのです。
それでは、上記の3つの段階を「本」に置き換えながら見ていきます。
まずは本に「注意」を引く
ここからは、「書店の棚に並んでいる本」を買う場合で考えてみたいと思います。
出版社が、書店にやってきた人に「ある本」を買ってもらうためには、まずは、その本に「注意」を引く必要があります。
もし、その本が高く積まれていれば、すぐに消費者の目に止まるかもしれませんが、問題は本棚に収納されている場合です。
こういったケースでは、多くの本が並んでいる棚のなかで、「その本」に注目してもらわなければなりません。
そうしなければ、消費者はその本に気づくことなく、別の著者の本を手にとってしまうからです。
そこで多くの出版社は、「その本」に注目を集めるために、「本自体の色」を工夫してみたり、「派手な帯」を付けてみたり、目を引く「キャッチーなタイトル」にしてみたりするわけですね。
この「注意を引く」という部分でいえば、セールスレターにおける「ヘッドライン」が、その役割を果たします。
セールスレターでは、その冒頭に、大きな文字で書かれた「ヘッドライン」を置きますが、それによって、まずは訪問者の「注意」を引くわけですね。
本の場合も、まずは、読み手の注意を引くために、本の色を工夫したり、奇抜なタイトルをつけてみたりするわけです。そうしないと販売者側は、そもそも販売のスタートラインにも立てないからです。
本に「注意」を引いたら、つぎは「興味」を引く
本の色やタイトルなどで、消費者の「注意」を引いたとしても、「興味」が引けなかったら、何の意味もありません。
人は、「注意」を引きつけられただけでは行動を起こさないからです。
人というのは、「注意」を引かれたあと「興味」を引かれて、はじめて行動を起こします。
では、どのようにして人に「興味」を持ってもらうのかというと、それは以下の2つを示すことです。
- その人のメリットになること
- その人に降りかかる危険
こういったものに対して、人は「興味」をいだきます。
これはセールスレターにおける「ヘッドライン」でも同じことがいえます。セールスレターでは、ヘッドラインに訪問者の「注意」を引いただけでは、そのあと「読んでみよう」と思ってもらえません。
そこで、ヘッドラインのなかに、上記の2つのどちらかの要素をふくめることによって、訪問者の「興味」を引くわけですね。
これは、何かの「本」に初めて出合った人に関しても同様です。
「この本を読めば、何らかのメリットが得られそう」
「この本に書かれていることを知らなければ、大変なことになりそう」
このような思いを消費者に抱かせる、つまり消費者の「感情」を動かしてこそ、その人はその本に「興味」をもつわけです。
そして、その結果として、本棚からその本を抜き取るという行動を起こすのです。
「興味」をさらに強める
ただ、いろんな本が棚に並んでいる状態で、消費者が、ある本の「背表紙」に書かれているタイトルなどに「興味」をもち、本棚から本を抜き取ったとしても、それは、まだ「浅い興味」でしかありません。
背表紙というのは、本の中央にある細い部分のことですが、この部分はスペースが狭いために、字数が制限されてしまうのです。
よって、本の「背表紙」のタイトルで「興味」を引く目的は、「本を棚から抜き出して、実際に手に取ってみよう」と思ってもらうこと、いいかえれば、本の「表紙」を見ようと思ってもらうことです。
本の表紙なら、背表紙にくらべて広いスペースがあるため、消費者のメリットになるようなことを、存分に書くことができます。
この「本の表紙部分」こそが、まさにセールスレターにおける「ヘッドライン」に該当するわけです。
もちろん、背表紙に書かれている「本のタイトル」も大事な要素ですが、本の「表紙」であれば、もっと多くのメリットを消費者に伝えることができるのです。
消費者は、本の「背表紙」で興味を引かれ、本棚から本を抜き出します。その後、すぐに「表紙」に目をやり、そこに書かれている文章から「自分のメリット」「自分にとって危険なこと」を読み取ります。
その結果、消費者は「強い興味」をいだき、「本の中身を実際に見てみよう」という思いになるのです。
ただ、いまは順番に説明しているので、ゆっくりに感じるかもしれませんが、実際には、こういった心の動きはもっと短時間でなされるわけです。
「信頼」を獲得する
消費者は、本の表紙に書かれている文章を見て、このように考えます。
「この表紙で謳われていることは本当だろうか?」
「自分に危険があるみたいだけど、その解決法が書いてあるかな?」
それと同時に、つぎのようにも考えます。
「この本の著者は、信頼できる人かな?」
「この著者の文章は読みやすいかな?わかりやすいかな?」
消費者は、以上のようなことを確認するために、つぎは必然的に「本の中身を確認する」という行動をとり始めます。
ただ、その際の行動は、まさに人それぞれです。
たとえば、まずは「はじめに」や「目次」を読んでみるという人もいれば、まずは「全体」をパラパラとながめてみるという人もいます。
あるいは、まずは「適当な箇所」をランダムに読んでみるという人もいれば、まずは「おわりに」から読んでみる、という人もいるでしょう。
また、これら複数の行動をとる人もいるかと思います。
ただ、この段階における、すべての人の行動に共通しているのは、「この本は信頼に値するかどうかを判断したい」という心理なのです。
その判断の結果、その本をすぐにでも本棚に戻すのか、それとも「立ち読み」だけで済ますのか、いろいろな選択肢があるわけです。
仮に、この「本の信頼度を判断する段階」において、「この本は信頼できる」「タイトルで謳われているメリットが得られそうだ」と判断すれば、「この本を買ってみようか」ということになるわけですね。
ちなみにセールスレターでは、読み手に実際に商品を手に取ってもらうわけにはいかないので、セールスレターのなかで、読み手が納得できるような「理由」を示したり、「証拠」を提示したりします。
そのいっぽうで、書店に並んでいる「本」の場合は、それ自体が「商品」です。
ですから、実際に商品の中身を確認したうえで購入することができるという点が、セールスレターとは異なります。
ただ、本の場合もセールスレターの場合も、消費者は、「商品が信頼できるかどうかを判断してから購入したい」という心理になっている点は共通しているわけです。
本を購入するためにレジへ行く
その本に対して「信頼感」をいだいた消費者が、つぎにとる行動。
それは「本の値段」と「その本から得られそうな価値」を天秤にかけてみる、ということです。
もちろん、本の値段に関しては、本を手に取った段階で、すぐに確認する人もいるかもしれません。
ただ、その値段と「その本から得られそうな価値」を天秤にかける、という行為は、最後の段階で行うわけですね。
もし消費者が、この判断の段階で、「支払うお金以上の価値が、この本にはある」と判断すれば、そのまま本をレジにもっていくことを決断するわけです。
その反対に、「支払うお金以上の価値が、この本にはない」と判断すれば、そのまま見送るわけですね。
このことは、セールスレターの場合にも、そのまま当てはまります。
セールスレターの読み手が、「値段以上の価値」が得られそうと感じれば購入に踏み切りますし、その反対に、商品の内容は信頼できたものの、値段が高いと感じれば、「今回は見送ろう」と考えるわけです。
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以上、この記事では、「セールスレター」と「本」においては、それを目にする消費者の心理に共通点がある、という話をしてきました。
もちろん、セールスレターは「商品を手渡す前」であり、本の場合は「商品そのものを手にしている状態」という違いはあります。
ただ、その際の消費者の「心理」だけに着目すれば、両者には共通点が多いのです。
ぜひ、あなたが本を購入する際は、「自分の心の動き」を客観的に観察してみてください。