今回は、適切な箇所に「読点」を打ち、余計な言葉を省くことで、文章がわかりやすくなる、という話をしたいと思います。
文章を書く際は、ともすればコテコテと不要なフレーズを付け足しがちですが、そういったフレーズがなくても、文章の意味はまったく変わらないことがあります。
今回も、ジェイ・エイブラハムが著した書籍の翻訳本である『ハイパワー・マーケティング』(角川書店)を題材に、文章を添削してみたいと思います。
文章はできるだけシンプルにする
問題となる箇所は、「第10章:テレマーケティングの力」の中にあります。(P189)
つまり電話を使ったマーケティング戦略ですね。
以下が引用文です。
読みやすくするために、改行し、空白行も入れました。
とくに問題のない「上手な文章」に思われるかもしれません。
しかし、「文章の細部」まで見通すことのできるコピーライターの目から見れば、問題が多々ひそんでいるのです。
1行目と2行目の文章に関しては問題ありません。問題は3行目以降の文章です。
3行目の文章に関しては、読点を打つことによって、読み手に誤解される危険をなくすべきです。また、余計なフレーズを省くべきです。
以下は改善前の、3行目の文章です。
そして以下が、3行目の文章の改善例です。
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その美容師は、電話をかけてきた見込み客の相談に乗り、外見上の問題に悩む女性たちの疑問に答えました。
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「いつも電話をかけてきた」と続けて読まれる可能性があるため、ここでは「いつも」というフレーズを省きました。
「いつも」というフレーズがなくても、文章の意味は変わらないかと思います。むしろ、文章がシンプルになったぶん、ストレスなく読めるのではないでしょうか?
また、「自分の外見上の問題に悩む女性」と「外見上の問題に悩む女性」は、結局は同じことです。
これに関しても、シンプルになったぶん、文章がすっきりしたのではないかと思います。
4行目の添削
では、つぎに4行目の文章を添削したいと思います。
まずは、改善前の文章を掲載します。
以下は、改善例になります。
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そうして、すぐにでも実行できるアドバイスを与えるとともに、彼女たちのためにできることを有料でオファーしました。
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この4行目の文章に関しては、「そうして実行できる」と続けて読まれる危険があります。
しかし、「そうして」というフレーズは「与える」にかかるはずです。
よって、上記では「そうして」のあとに読点を打つとともに、よりわかりやすくするために「すぐにでも」というフレーズを付け加えました。
文章というものは、「余計なフレーズ」は省くべきですが、「読み手に疑問を起こすような情報」は省いてはいけません。
また、「よりイメージしやすくなる」のであれば、フレーズを補っていくべきです。
なお、「自分が」というフレーズを削除し、「有料で」というフレーズを追加しました。
以上のように改善することで、文章が読みやすくなったのではないかと思います。
5行目の添削
それでは、最後の文章を添削してみます。
まずは、改善前の文章を掲載します。
以下は、改善例になります。
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そのうえで、サロンに来ることを希望した見込み客には、初回を無料にしたのです。
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このくだりでは、「その上でサロンに来る」と続けて読まれる可能性があります。
そこで、「その上で」のあとに読点を打ちました。
また、「その上で」を「そのうえで」という表現に改めました。
このように、ひらがなにできる表現は、できるだけそのようにしたほうが、読みやすくなります。
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では、もう一度、原文を掲載します。
そして、以下が3行目以降の改善文です。
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以上、この記事では、読点を打つことによって誤解を防ぎ、余計なフレーズは省くべきである、という話をさせていただきました。
ちょっと、いろいろな要素が混在してしまった感がありますが、文章における「問題の箇所」というのは、こちらに都合よく登場してくれるわけではありません。
ですから、その点はご了承いただければと思います。
この記事が参考になれば幸いです。