世の中には、新聞やCMなどさまざまな媒体で「イメージ広告」を見かけます。
イメージ広告というのは、いろいろな企業が、「自社のイメージ」や「商品のイメージ」を伝えるために打つ広告のことをいいます。
こういったイメージ広告の半数以上は、まったく訴求性がないのが現実です。
この記事では、「イメージ広告」とは具体的にどういったものか、そして、なぜほとんどのイメージ広告に訴求性がないのか、ということについて解説していきたいと思います。
「イメージ広告」はイメージだけを伝える
イメージ広告では、その広告上で商品を売ることはしません。
広告のなかには、冒頭のキャッチコピー(ヘッドライン)で訪問者の興味を引いて、そのあと徐々に信頼を獲得し、最後には価格などを示すタイプのものもあります。
そのいっぽうで「イメージ広告」の場合は、その場で商品やサービスを売るのではなく、「企業イメージ」「商品イメージ」だけをシンプルに伝えるわけです。
テレビのCMでは、「商品やサービスのイメージ広告」はよく見かけるかと思います。
ただ、イメージ広告には、「企業のイメージ」を伝えるためのものもあるわけです。
そして、そういった「企業のイメージを伝える広告」の半数以上は、人に何のイメージも与えていない、というのが現実です。
つまり一部の企業は、イメージ広告を打つことで「多くの人に自社を宣伝している」「自社のイメージを伝えることができている」と思っているかもしれませんが、じつは、それは全くの勘違いなのです。
勘違いしている「企業のイメージ広告」
こういった「企業のイメージ広告」の多くは、新聞に掲載されています。
そうした「企業のイメージ広告」のなかで、読み手にまったくイメージが伝わらない広告の特徴は、以下の3つです。
- 何の業種か伝えていない
- ありきたりなことしか伝えていない
- 読んでも意味のわからないコピーを書いている
読み手に対して何のイメージも伝わらない「企業のイメージ広告」の特徴の筆頭は、読み手に「業種」を伝えていないことです。
読み手に企業の業種を伝えるには、以下の2つの方法があります。
- 企業名に業種を含める
- 文章で仕事の内容を伝える
読み手に「企業のイメージ」を伝えるためには、上記のうち、どちらか一方をクリアしている必要があるわけですね。
しかし、読み手に何のイメージも伝わらない「企業のイメージ広告」の場合、上記2つのどちらにも該当しないのです。
たとえば、工務店のイメージ広告があったとします。
その場合、
- (コピー)自然を取り入れつつ、近代的な家をつくります
- (企業名)〇〇工務店
このどちらかいっぽうの情報が広告内に入っていれば、読み手は、「これは工務店の広告だな」というのがすぐにわかります。
もちろん、両方の情報が広告内に入っていれば、なおいいわけです。
ただ、企業のなかには、その企業名を見ただけでは「業種」が想像できないケースもあるかと思います。そういった場合は、「文章」のほうでしっかりと業種を読み手に伝える必要があります。
いずれにしても広告のなかで、しっかりと「業種」を伝えれば、読み手は、業種のイメージと社名を、頭の中で結び付けてくれます。そして、そのイメージが頭の中にとどまり続けるのです。
しかし、「何の業種か」といった情報が広告内に入っていない場合は、読み手にしてみれば、「何の広告なのか」がまったくイメージできないわけですね。
中身のない広告コピー
企業イメージを伝えるための広告のなかには、「ありきたりな文章」しか書かれていないものをよく見かけます。
「ありきたりな文章」というのは、たとえば、
「私たちは『信頼第一』で進んでいきます」
「私たちは『お客様第一』をモットーに精進していきます」
「現場では責任をもって業務を遂行し、確実に良質な仕事を行います」
こういった、ある意味、「どの企業でも当たりまえの前提」を、わざわざ広告内に書いているのです。
このような文章を目にした読み手のなかには、「とくに書くことがないから、当たりまえのことを言ってるんだな」「特徴のない会社なんだな」と思う人も出てくるかもしれません。
ですから「企業のイメージ広告」のなかで「仕事の内容」を伝える場合は、しっかりと「その会社ならではの具体的な仕事内容」を書き、なおかつ、「読み手にとってのメリット」も示していくべきなのです。
それでこそ読み手に対して、企業の存在を認識してもらえるわけですし、企業のイメージアップにつながっていくわけですね。
意味のわからないコピー
企業イメージを伝えるための広告のなかには、「読んでも意味のわからないコピー」も、けっこうな数で存在します。
言っている意味がわからなければ、読み手に「企業イメージ」が伝わらないのはいうまでもありません。
そのような広告は、企業の「自己満足」でしかないわけですね。
広告を出す側にしてみれば、できるだけ企業のイメージをよくしようとして「かっこいいキャッチコピー」を付けたくなるのかもしれませんが、読み手に伝わらなければ何の意味もないのです。
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以上、この記事では「イメージ広告」について解説してきました。
そして、イメージ広告の半数以上は訴求性のないもの、ということでしたね。
その理由として、以下の3つをご紹介しました。
- 何の業種か伝えていない
- ありきたりなことしか伝えていない
- 読んでも意味のわからないコピーを書いている
経営者にしてみれば、「自分の会社名は、すでに誰もが知っているはずだ」と思いがちなのかもしれませんが、そういった芸当が可能なのは、すでに多くの人に認知されている「大企業」だけです。
大企業であれば、その社名を書くだけで、十分にイメージ広告の役割は果たせますが、そこまで有名ではない企業の場合は、広告内でしっかりと「業種」や「具体的な特徴」を伝えるべきなのです。
ぜひ、イメージ広告を打つ際は、自社の認知度を客観視したうえで作成するようにしてください。