最近、新聞広告などでは、「販売者の顔写真」を掲載することが増えています。
こういった「販売者の顔写真」を広告に載せることは、売り上げアップにつながるのでしょうか?
結論からいえば、ある条件を満たせば、売り上げアップにつながりますが、その条件を満たしていない「販売者の顔写真」は、売り上げアップには貢献しません。
この記事では、まずは「販売者の顔写真」を入れることの効果を解説し、そのあと、「効果が期待できないケース」をご紹介します。
それでは、さっそく解説していきましょう。
「販売者の顔写真」にある、こんな効果
広告に「販売者の顔写真」を掲載すること自体には、どのような効果があるのでしょうか?
こういった写真には、広告の読み手に「親近感」を抱かせる効果が期待できます。
もちろん、すべての写真に効果があるわけではなく、一部の例外はあるかと思います。
そのほか、販売者の顔のかわりに、「商品を作っている人の顔」でも同様の効果があります。
あるいは応用として、販売者が「芸能人」と契約を結び、その顔を広告に掲載することで、その芸能人の「親近感」「信頼度」を広告に反映させることも可能です。
いずれにしても広告内に、その商品やサービスに関係する人の「顔」を載せることによって、その広告の読み手に「人間味」をアピールし、「親近感」を抱かせるという方法は、大変有効といえます。
その「親近感」が、広告への「信頼」へとつながっていくわけですね。
ただし、ひとつだけ条件があります
もちろん、広告に「販売者側の顔写真」を載せることは、そこで紹介している商品やサービスの「信頼」へとつながることは間違いありません。
ただ、そうなるためには、ひとつだけ条件があります。
それは、その広告に、まずは訪問者の「興味」を引かなければならない、ということです。
たとえ広告に「販売者側の顔写真」を掲載したとしても、それだけでは訪問者の「興味」を引きつけることはできません。
世に出回っている広告のなかには、「販売者側の顔写真が、広告への信頼を高める」という効果を過信し、その顔写真によって訪問者の「興味」までを引こうとしているケースがあります。
そういったケースでは、ヘッドライン(広告の冒頭に置くキャッチーな見出し)でも、販売者側の紹介だけにとどまっているのです。
つまり、ふつうは冒頭のヘッドラインのなかで、その商品やサービスを購入する「訪問者のメリット」に言及することによって、訪問者の「興味」を引きます。
そうすることによって、はじめて訪問者に、その広告を真剣に読んでもらえるからです。
しかし、このケースの場合、ヘッドラインのなかで、いきなり「販売者側への親近感」のみを打ち出してしまっているのです。
たとえば、
「〇〇農園が一生懸命に収穫した『じゃがいも』を、ぜひ味わってみてください」
といったヘッドラインを広告の冒頭に掲げ、そのあとに、満面の笑みになっている「農家の人たち」が「じゃがいも」を両手にもった写真を載せるわけです。
このようなヘッドラインと、その直後の写真は、たしかにその広告に「人間味」を添えるため、読み手に「親近感」をあたえることは事実です。
ただ、上記のケースでは、そもそも広告の冒頭で、「訪問者のメリットになるようなこと」を伝えていないため、ただ訪問者に「親近感」を与えるだけで終わってしまう可能性があるのです。
広告の読み手にしてみれば、聞いたこともない「〇〇農園」という名前に興味はありませんし、あえてその広告で「じゃがいも」を購入するよりも、そのへんのスーパーで買ったほうがいいと考えるわけです。
まずは「訪問者のメリット」を伝える
広告から商品を購入してもらうためには、まずは訪問者の「興味」を引かなければなりません。
そのためには、広告冒頭のヘッドラインで、「訪問者のメリット」を真っ先に伝える必要があります。
たとえば、先のケースでいえば、
「〇〇(地名)でとれた『甘いじゃがいも』を、ぜひ味わってみてください」
とあれば、「甘いじゃがいも」ということが、この広告から購入するための理由になります。
そのような「訪問者にとってのメリット」を冒頭のヘッドラインで伝えずに、「販売者側の親近感」だけに寄りかかったような広告では、広告の読み手は「自分のメリットになる」とは感じないため、結局は広告の成約率が下がってしまう可能性があるのです。
つまり、「販売者側の親近感」だけで勝負するような広告の場合、
「さわやかな笑顔の人たちだなあ・・・」
と読み手に思われるだけで終わってしまう、ということですね。いってみれば、広告に掲載されている顔写真は、訪問者の「注意」は引くけれど「興味」は引けないわけです。
とくに最近は、広告に、「にっこり笑った販売者の写真」を載せるケースが増えています。
たしかに、そういった顔写真を載せる広告が少なかったころは、その「親近感」だけでも、広告で反応がとれたかもしれません。
しかし、そのような写真を載せる広告主が増えてくれば、当然、その効果は弱まっていくわけです。
広告の読み手が、そういった写真に見慣れてしまうからですね。
よってこれからの時代は、広告冒頭のヘッドラインで、まずは「訪問者のメリットになるようなこと」をしっかりと伝える。
そのうえで、広告に「販売者側の顔写真」を載せれば、それは「商品やサービスの売り上げアップ」へと確実につながっていく、ということです。
ぜひ、広告に「顔写真」を載せる際には、その効果を過信せずに正しく活用していってください。